こんにちは。ノマド家族のぱぱぞん(@nomadkazoku)です。
2023年4月、我が家はマレーシア移住をはたし、クアラルンプールで暮らしています。
海外居住者となってしまうと、日本の銀行や証券会社が利用できなくなると知り、居住国によらず無料(条件付き)で口座維持ができるアメリカの銀行口座(旧ユニオンバンク)と証券口座(Firstrade証券)の口座開設しました。
関連記事
>> 米国ネット証券会社「Firstrade」口座開設方法【15分で完了】
>> Firstradeへの送金にも使える!プレスティアSMBC信託銀行が意外とイケてる理由
>> 海外送金Wise(ワイズ)の魅力とは?海外移住者が選ぶ3つの理由
1年以上海外に住む場合、海外転出届(=住民票を抜く)を提出する必要があるので、住民票を抜くと具体的にどんな影響があるのか?について調べてみました。
住民票を抜くことで発生する不利益について、しっかり学んだ上で海外移住の準備を進めたいと思います。
とはいえ、
僕が調べた結果「住民票は抜いたほうが良さそうだ」という結論になりました。
今回は住民票を抜いたら大きく変化する5つのポイントについて解説します。
住民票を抜く!海外転出届後に失うもの
この5つの変化について、メリット・デメリットに分けて整理してみました。
◯メリット
・住民税を払う義務がなくなる(課税所得の約10%)
・消費税の免税店を利用できる(※条件あり)
×デメリット
・国内の金融機関が使いづらくなる
・住民票が発行できなくなる
△人による
・健康保険に加入できなくなる
◯健康保険料の支払い義務はなくなる(課税所得の約10%)
×国内治療費は全額自己負担
×海外治療費も全額自己負担
・年金は任意加入となる(任意加入しない場合)
◯年金の支払い義務がなくなる
◯受給資格期間(10年以上必要)にはカウントされる
×将来の年金受給額が減る
×障害・遺族基礎年金の受給権が消滅する
・所得税を払う義務がなくなる(※国内源泉所得が一切ない場合)
中々ややこしいので、それぞれ細かく解説します。
①税金(住民税・消費税・所得税)
税金に関しては、住民票を抜くことは、メリットしかありません。
住民税
シンプルに支払い義務がなくなります。
ただし、住民税の支払い義務は、1月1日に住民票があった自治体に対し1年間有効です。年の途中で移住したとしても12月分まで支払う義務があります。
逆に言うと12月中に住民票を抜くのが最もおトクです。
消費税
消費税に関しては「免税店」の許可を受けた店舗のみ、支払い義務がなくなります。日本人で免税対象者となる条件は、以下の4つです。
- 外国にある事務所に勤務する目的で出国し、外国に滞在する者
- 2年以上外国に滞在する目的で出国し、外国に滞在する者
- 日本出国後、外国に2年以上滞在するに至った者
- ①〜③に掲げるもので、日本帰国での滞在期間が6ヶ月未満の者
4の条件で、滞在期間が6ヶ月未満であることの証明にパスポートと入国スタンプが必要です。また、2年以上有効なビザのコピーなどもあると安心です。
近年、入国スタンプはデジタル化で省略される事もあるので、その場合は、税関職員さんにお願いして押してもらいましょう!
また、免税対象品や金額などの細かな条件もありますので、詳しく知りたい方は、下記のリンクからご確認下さい。
外部リンク >> 官公庁|免税店とは?
http://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/about.html
関連記事
>> 東京のパスポート申請はどこでやる?必要書類と申請期間は?混雑回避の裏技
所得税
所得税に関しては、日本に住んでいなければよいという単純なものではなさそうで、色々と細かな条件があります。
ざっくりいうと、日本に事務所などを持たず、 海外に居住し、海外で稼いだお金であれば、原則日本では所得税は課税されません。
が、例外もあるようです。
例えば、海外の滞在期間が極端に短い場合や、家族が日本に住み続けている場合など、日本に軸足をおいていると判断される場合、かつ、所得が多い場合は外国への課税逃れと判断される可能性もあります。
一般的なフリーランスレベルの稼ぎであれば、たぶん大丈夫!
・・・だと思います。
②健康保険
国民健康保険に関しては、少しややこしいので住民票を抜く場合と抜かない場合を、表で比較してみました。
住民票を抜く | 住民票を残す | |
加入権利&支払い | なし | あり |
国内治療費 | 全額自己負担 | 3割自己負担 |
海外治療費 (海外療養費制度) | 全額自己負担 | 「日本で同等の治療した場合の金額」から「自己負担額を引いた額」を支給 |
改めて、大前提を申し上げますと、
“1年以上海外に住む場合、海外転出届を提出する“必要があります。
それでも日本の健康保険を維持したいという人が多いのは、世界最高水準と言われる日本の健康保険の安心感が欲しいからだと思います。
しかし、日本の健康保険を継続するためには、住民票を残す必要があり、その結果、健康保険料だけでなく、住民税・所得税の支払い義務が芋づる式に発生してしまいます。
海外に居住していると、日本の行政サービスはほぼ使わないので、健康保険に加入するためだけに、少なくとも課税所得の3割以上の税金(住民税・所得税・健康保険料)を支払うことになってしまいます。
しかも、その結果、海外生活で利用する可能性が高い海外療養費制度は、日本国内の充実した制度と異なり、海外で実際に治療でかかった費用とは関係なく、日本の治療費に相当する額から、自己負担分を差し引いた一定額の療養費がもらえるだけ。
保証内容については、実際に怪我や病気が発生した後でないと、どの程度の差額が発生するのか想定するのが難しい内容です。
こんな内容の保険で、ただでさえ不安な海外生活に安心をもたらしてくれるしょうか?
コストを課税所得の3割以下に抑えつつ、同等以上の保障内容でよりおトクなプランを見つけることはそう難しくないと考えます。
長期海外移住の医療保険に関しては、あまり王道はなさそうですが、
- クレジットカードの付帯保険を駆使する
- 海外旅行保険に加入する
- 現地の医療保険に加入する
など、様々な方法があるようですので、それぞれ自分にあった方法を探してみましょう!
関連記事
>> 海外保険自動付帯で評判のエポスカード実際に使ってみた!
>> クレカの付帯保険じゃ不安…海外移住後の医療保険にはSafetyWing「ノマド保険」
③国民年金
国民年金に関しては、加入義務はなくなりますが、任意加入が可能です。
こちらも、それぞれの条件を比較してみてみましょう。
任意加入する | 任意加入しない | |
支払い | 年間約20万円 | 免除 |
将来の受給額 | 増える | 現状維持 |
障害・遺族基礎年金 の受給権 | あり | なし |
個人的には、年金の受給額に関しては増やしたいとは思わないのですが、障害・遺族基礎年金の受給権が消滅してしまう事は大きなデメリットかなと感じます。
遺族年金は、18歳未満の子供がいる配偶者に対し、年間約100万円程度の支給があるため、下の子が15歳位になるまでは任意加入しても良いかなと考えます。
それ以降の障害年金については、、、おいおい考えます。
④金融機関
金融機関に関しては、銀行・証券会社・税制優遇制度など、いずれもデメリットが多いです。
銀行
主要な銀行は、非居住者向けにもサービスを提供しています。
三菱UFJ銀行「グローバルダイレクト」【月額300円】
三井住友銀行「SMBC/グローバル・ダイレクト」【月額220円】
みずほ銀行「海外勤務者向け日本国内送金サービス」【無料】
オンラインバンクを利用すれば、一部のサービスを除き、基本的な取引は可能です。
関連記事
>> 海外移住で残すべき銀行口座はどれだ?【今ならソニー銀行】
証券会社
国内の主要な証券会社は日本国外で金融商品取引業務を行う許可を得てないため、口座解約、または、休眠(利用制限)する必要があります。
SBI証券 → 休眠(利用制限)
楽天証券 → 休眠(利用制限)
マネックス証券 → 解約 or 休眠
税制優遇制度
証券会社に付随した話として、「NISA」や「iDeCo」といった税制優遇制度は国内居住者が対象のため、利用対象外となります。
NISA(ニーサ)
最長5年までの出国であれば、口座保持は可能 (2019年4月以降)
iDeCo(イデコ)
追加積立はできないが、運用維持は出来る ※運用維持費もかかる
住民票を抜く場合は、そもそも日本の税金がかからなくなるので、税制優遇制度メリットではなくなります。
しかし、iDeCoは途中解約ができず、60歳まで運用維持費がかかるため、積立金が少ない状態だと運用効率が下がってしまう点が少しネックかも知れません。
⑤その他(マイナンバー・選挙権)
その他、気になる事項についても調べてみました。
マイナンバー
現状では、住民票を抜き日本の非居住者となった時点で、マイナンバーは失効となります。また、マイナンバーカードをお持ちの方は返納する必要があります。
※個人に付与された番号は変わらず、帰国後に同じ番号を使用します
ただし、海外移住者は年々増えていることもあり、今後は戸籍に紐付けることで海外転出後もマイナンバーを利用可能になる可能性もあるようです。
参照)マイナンバーカード、海外で交付可能に 法改正を検討
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0734K0X01C22A2000000/
選挙権
在留届を提出の上「在外選挙人名簿」に登録することで、日本出国前の最終住所地の選挙権を得ることができます。
個人的には、海外に出ること自体が日本政府に対する1票と考えているので、選挙権はいらないかな、、、海外に出る若い人が増えてくれれば、日本の政府も若い人のほう向いてくれるかなと期待しております。
結論 手間を惜しまないのであれば抜いたほうが良し!
以上、海外移住の際に「住民票を抜くことで失うもの」についてまとめてみました。
全体的にはメリットが大きい気がしますが、医療保険に関してはしっかりと準備が必要そうだということがわかりました。
これから、出国までに良さげな保険を探したいと思います!
関連|2020|海外移住費用を具体的に試算してみる
僕たちマレーシア移住のケースですが、海外移住に必要なお金を趣味レーションしてみました。