こんにちは。ぱぱぞん(@nomadkazoku)です。
2023年4月、我が家はマレーシア移住をはたし、クアラルンプールで暮らしています。
海外居住者となってしまうと、日本の銀行や証券会社が利用できなくなると知り、居住国によらず無料(条件付き)で口座維持ができるアメリカの銀行口座(旧ユニオンバンク)と証券口座(Firstrade証券)の口座開設しました。
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世界の2大食品輸出国であるロシアとウクライナの紛争が引き金となり、食品価格が高騰しています。
事実、世界の小麦や大麦の約3割、とうもろこしの約1.5割がこの2国からの輸出と言われており、食品価格に大きな影響を与えています。
しかし、食品価格が上昇する要因は、紛争だけではありません。
・人口増加|77億人→97億人(2050年)
・自然災害|酷暑・干ばつ・洪水・暴風雨など、異常気象の増加
・需要供給|1/3の食品が廃棄されている一方で飢餓に苦しむ人がいる
米国のインフレもとどまることを知らず、直近9月の消費者物価指数(CPI)は +8.2% と上昇傾向が収まっていません。
そこで今回は、農業製品に投資できるコモディティETFを探し、比較・検討してみたいと思います。
※本記事は2022年10月時点での情報です。
農業関連コモディティETF4本を比較
まずは4つの農業関連ETFの主要スペックを純資産総額順に並べて比較してみましょう。
銘柄名 | 資産 総額 | 月平均 出来高 | 経費率 | 10年平均 成長率 | 10年最大 下落率 | シャープ レシオ | 直近半年 資金流入 |
DBA | 1,480M | 27.9M | 0.93% | -3.10% | -54.4% | -0.26 | -325M |
WEAT | $372M | 17.3M | 1.14% | -7.99% | -79.9% | -0.35 | -119M |
CORN | $222M | 7.1M | 1.14% | -4.01% | -77.0% | -0.13 | -18M |
SOYB | 63M | 1.9M | 1.91% | 1.58% | -51.9% | 0.21 | 0.8M |
「DBA」は、農業商品先物(コモディティ)指数を追跡し、農業商品全体をカバーするETFです。
ETF全体でみると500位前後(約3,000銘柄中)に位置する中堅銘柄です。
他の「WEAT(小麦)」「CORN(とうもろこし)」「SOYB(大豆)」は、それぞれ個別農業商品に投資ができる銘柄となっています。
それでは、各ETFについて深堀りしてみたいと思います。
DBA|Invesco DB Agriculture Fund
銘柄名 | 資産 総額 | 月平均 出来高 | 経費率 | 10年平均 成長率 | 10年最大 下落率 | シャープ レシオ | 直近半年 資金流入 |
DBA | 1,480M | 27.9M | 0.93% | -3.10% | -54.4% | -0.26 | -325M |
「DBA」は、10種類の農業商品コモディティ指数を追跡するInvesco社が運用するETFです。
一般的に、コモディティ投資は、短期間の大きな値動きに対しレバレッジをかけることで、売却利益をだすことが目的です。
しかし「DBA」は、農業商品全体に分散することで、値動きが安定してしまうため、短期取引には向かず、中長期目的で農業商品をポートフォリオに加えるための商品となっています。
①小麦
②とうもろこし
③大豆
④砂糖
⑤ココア
⑥コーヒー
⑦綿
⑧畜牛
⑨肉牛
⑩豚
他のコモディティETFと比べて経費率も低めに設定されており、CFDや先物取引の利用が難しい投資初心者にとっては、購入しやすい商品となっています。
WEAT|Teucrium Wheat Fund
銘柄名 | 資産 総額 | 月平均 出来高 | 経費率 | 10年平均 成長率 | 10年最大 下落率 | シャープ レシオ | 直近半年 資金流入 |
WEAT | $372M | 17.3M | 1.14% | -7.99% | -79.9% | -0.35 | -119M |
「WEAT」は、農業に特化したETFを多く取り扱うTeucrium(トゥークリム)が運用する小麦先物指数を追跡するETFです。
シカゴ貿易委員会の小麦先物契約を3つに分割し、価格差が軽減されるよう混合保有されています。
35% 満期まで2番目(約5ヶ月後)
30% 満期まで3番目(約7ヶ月後)
35% その後の12月限
「WEAT」は「DBA」と高い相関関係のある値動きをしていますが、小麦単一を追跡するため短期的な値動きは激しく、短期取引で利益を出す目的であれば活用しがいがありそうです。
CORN|Teucrium Corn Fund
銘柄名 | 資産 総額 | 月平均 出来高 | 経費率 | 10年平均 成長率 | 10年最大 下落率 | シャープ レシオ | 直近半年 資金流入 |
CORN | $222M | 7.1M | 1.14% | -4.01% | -77.0% | -0.13 | -18M |
「CORN」も「WEAT」同様Teucrium(トゥークリム)が運用するとうもろこし先物指数を追跡するETFです。
「WEAT」同様、シカゴ貿易委員会のとうもろこし先物契約を3つに分割し、価格差が軽減されるよう混合保有されています。
35% 満期まで2番目(約5ヶ月後)
30% 満期まで3番目(約7ヶ月後)
35% その後の12月限
とうもろこしの用途は、食用約10%、エタノールなどの燃料約35%、飼料約40%と家畜のエサとしての比重が大きめです。ゆえに食肉需要の増加と連動し、とうもろこしの需要も増加します。
しかしながら、牛の出すメタンガスが地球温暖化の要因とされていたり、植物由来の食用肉の開発が進んでいたりと、とうもろこし需要の未来は決して明るくはありません。
一方、アメリカ輸出大国であるアメリカはこの状況を良しとはせず、ブラジルと手を組んで地球に優しいバイオエタノール燃料としての活用を推進しています。
SOYB|Teucrium Soybean Fund
銘柄名 | 資産 総額 | 月平均 出来高 | 経費率 | 10年平均 成長率 | 10年最大 下落率 | シャープ レシオ | 直近半年 資金流入 |
SOYB | 63M | 1.9M | 1.91% | 1.58% | -51.9% | 0.21 | 0.8M |
「SOYB」も「WEAT」同様Teucrium(トゥークリム)が運用する大豆先物指数を追跡するETFです。
「WEAT」ほぼ同様、シカゴ貿易委員会の大豆先物契約を3つに分割し、価格差が軽減されるよう混合保有されています。
35% 満期まで2番目(約5ヶ月後)
30% 満期まで3番目(約7ヶ月後)
35% その後の11月限
大豆の用途も約60%は飼料が占めており、食用は10%未満です。一方、大豆ミートなど、代替肉として、ハンバーガーやソーセージ、ハムなど、新しい形での食用大豆の需要が増しています。
コモディティ(商品先物)ETFのメリット・デメリット
コモディティ投資(全般)には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
コモディティ(商品先物)ETFのメリット
○ インフレに強い
一般的に、農業商品の価格は米ドルに反比例すると言われています。
現在、強力なインフレに対抗すべく、利上げ真っ最中の米ドルは、他通貨よりも価値が高まっています。
主要通貨との為替通貨を数値化したドルインデックス指数(DXY)も上昇しており、DXYが反転するタイミングでの商品価格の上昇が期待できます。
○ 分散効果がある
一般的に、株式と債券は負の相関関係がある一方、コモディティは、その商品単体の需給によって価格が上下するため、独立した値動きをする傾向にあります。
特に食料として常に一定の需要がある農業商品は、株式や債券などの経済状況との独立性が高く、天候・在庫・為替レートなど様々な要因で価格が変動します。
コモディティ(商品先物)ETFのデメリット
✕ 価格予測が難しい
株式には、企業の業績を判断する上での様々な数値を見ることができますが、商品の価格は世界全体の需要と供給で決まり、特に供給に関しては、政治規制・天候変動・為替レートなど複数の要因で変化するため、将来の価格を予測することが難しいです。
✕ 配当金がでない
コモディティETFは、あくまで商品そのものを間接的に購入しているだけなので、配当金や利子などの資産を保有することで得られる利益はなく、買値よりも高い価格で売却することでしか、利益を得ることはできません。
✕ 維持費が高い
コモディティETFは、商品先物取引を毎月繰り返すことで、指数と連動させています。
毎月、売却&購入をする際に発生する損失(コンタンゴ)により、価格が横ばいの場合、損失が積み重なる可能性があります。
対策 ▶ 短期取引で利用する
コモディティETFは、分散性が高いとは言え、長期保有にはあまり向きません。
短期での保有がおすすめ!とは言え、価格予測が難しいので、何れにせよ初心者が購入するにはハードルが高そうです。
農業関連コモディティETFの購入方法
農業関連コモディティETFの取り扱いは、国内証券会社にはありませんでした。
シンボル | Firstrade証券 | 楽天証券 | SBI証券 | DMM 株 | ウィブル |
DBA | ◎ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
WEAT | ◎ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
CORN | ◎ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
SOYB | ◎ | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
米国ETF 取扱数 | 3,000+ | 400+ | 400+ | 290+ | 2,000+ |
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結論 初心者は手出し無用かも…
以上「農業関連コモディティETF4本」を比較してみました。
ドルインデックスが上昇中で、かつ主要農業商品である小麦の価格が下落傾向の今「DBA」や「WEAT」を購入するのは良いタイミングにも思えます。
食糧問題が改善の方向に向かうのはまだまだ先になりそうなことを考えると、ポートフォリオの一部として保有することもやぶさかではありませんが、ちゃんと”売りどき”を判断する必要を生を考えると、初心者には少し手を出しにくい商品かなと感じております。
僕は、世界の食料状況を追いかける意味で「DBA」をちょびっとだけ保有してみたいと思います。
ではまた!
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